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そういやあこっちにアップしてなかったなぁと漸く思い出しまして。今ちゃんお誕生日おめでとう漫画ですー。8/30のWTオンリーで無料配布してました。
しっかり者で気が利いて主に太一の面倒もあれこれ言いながらちゃんと見ている今ちゃんを、鈴鳴男子達が祝ったら良いよと思って描いたもんです。漫画を書いた後、この場面に至るまでのどうするどうするって相談する鈴鳴男子会議+ちょっとした後日譚も思いついたので、こちらは小説で書きました。でもそれぞれ別々でもわかる話になってると思いますー。あ、カップリング要素はありません。

画像は全てクリックすると大きいの見られますー。








鈴鳴のアットホーム感本当大好きです、いいですね。そういやあ本誌ランク戦ではススッと上位入りしていたのにひっそり熱くなりました。カゲさんとことランク戦で当たったりするかなーしたら是非見てみたい!けど所謂スポーツ漫画の大会とかじゃないから流石に脇キャラだけのランク戦までは描かれないだろうなああけど見たい。たのもーするしかないのか。


この先は小説です。長くなるので畳みますー。



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今ちゃんの誕生日を慣れないながらお祝いしようとする鈴鳴男子会議


 来馬辰也はいつものように、鈴鳴支部の扉を開ける。
 するとそこには、何やら向かい合って座り唸り込んでいる村上鋼と別役太一の姿があった。
「来馬先輩。お疲れ様です」
 村上が来馬に気付き、会釈をする。
 どうかしたのかい、のどの字の形に来馬が口を開こうとする間もなく、
「来馬先輩ぃぃー!!ちょうどよかった!!」
 太一が猛烈な勢いで、来馬に縋りつくような叫びを上げた。
「お知恵を!貸してください!」



「今ちゃんの誕生日、かあ…」
 ソファに腰を下ろし、二人から話を聞いた来馬が呟きを漏らす。
 オペレーターである今結花が、もうじき誕生日を迎える。
 そのお祝いをささやかながら行いたいと、二人は頭を捻っていたそうである。
「なんかお祝いしたいなーと思ってるんですけど…女子が喜びそうなことって、おれあんまりよくわかんなくて」
 太一が困り果てた様子で眉根を寄せる。村上も悩ましげな心情を、その生真面目な顔に滲ませていた。
「なにか欲しい物とかがわかれば、一番手っ取り早いんだけどな…」
「そうそれ、おれこの前聞いてみたんですけど」
「聞いたのか」
 拍子抜けした様子で村上が言うと、太一は「いや、それが…」と、具合が悪そうにもじもじと俯く。
「今先輩、少し考えて、最近出たモデルのオーブンレンジいいなって思うわねーって。なんか色々できて高いやつ」
「うーん…」
「それはさすがに、ちょっとキツいんで、いやもうちょっとなんかないっすかねーって聞こうとしたら…その、手伝いでやってた小麦粉ボールに入れるの手が滑っちゃって、ぶちまけちゃったからあーもーそういうのいいからーみたいな流れになっちゃって……」
 ああ、と何とも言えない調子で村上が漏らす。少し思い描くように目線を宙にやった後、それは短い吹き出し笑いに変わった。
 ともかくそんな調子で二人が頭を悩ませているのが、来馬にも十二分に伝わった。二人と同じように腕を組みながら、来馬も軽い唸り声を漏らす。
「そうだなあ…でもそういうことがあったならなおさら、あんまり立派な物を贈ると今ちゃんは恐縮するんじゃないかな」
「うー…」
 太一がまた苦悩を滲ませて、折れんばかりに首を捻る。
「やっぱり、ケーキ用意するくらいがいいんじゃないのか…?」
 村上が提案をすると、太一は「…いや!いやいや!」と、再び勢いをつけて身を乗り出してきた。
「なんかそれだけじゃなくて!なんかこう、もっと……なんかしたいんすよ!」
「なんかって、だからおまえ…」
 半ばため息混じりに、村上は戸惑ったような言葉を返す。
「だけど具体的になにか、ってのはないんだろ?」
「うぶぶ…」
「――まあ、せっかく祝うならって気持ちはオレも同感だし、だからなにか考えたいとは思うけどさ」
 言って村上は、またため息を漏らしながらソファの背もたれに身体を預けた。
 難しい表情で考え込む村上と、もどかしげに唸りこむ太一と。二人を順に見やって、来馬はふと言葉をかける。
「太一は本当に、今ちゃんに喜んでもらいたいと思っているんだねえ」
 素直な感想を口にした。
 すると太一はぴし――といやに姿勢を正し。目を見開いて、来馬を見つめ返してくる。
 その瞳は驚いているものかと感じたが、少し動揺したように揺れ動き。ややあって、太一は視線を下に逸らしてまた俯き気味になってしまった。
 何か、困るような事を言ってしまっただろうか――と来馬が気を揉みまた声をかけようとすると、「あの…」と太一がぽつりと語り始める。
「あのおれ、いつも、ドジばっか踏んで……今先輩のこと、怒らせてばっかりじゃないですか」
 うん、と言いかけて途中でやめたような相槌を村上がうっかりと挟む。太一は全くそれに気がついた様子もなく続けた。
「それがほんと、いつも申し訳ないなと思ってて…。今度こそやんないようにしようって思っても、またやっちゃうし、今先輩にもまた面倒かけるし……だけど」
 その続きを探すように、太一は一度言葉を切る。
 訪れた少しの沈黙に、身を任せるようにして――太一はすっ、と穏やかな声音で言葉を続けた。
「――だから、その日は今先輩に、笑ってもらいたいんです」


 言ってから、自分の発言に猛烈に照れた様子で、太一は頭をかきながらまた俯く。
 村上がふっと笑みを零したのが、来馬の視界に入る。同じようにして来馬も、自分の口元がほころぶのを感じた。
 いい子だな、と来馬は思う。
 自身で言っていた通り、しばしば悪気なくうっかり何かをやらかしては、しっかり者の今に窘められるのが太一の常ではある。しかしそれでも元来の愛嬌ある性格の為か、どうにも憎めないところが彼にはあり、今もそれを感じていてか厳しい言葉ほどは気を損ねている訳ではないだろうと感じる。
 だが太一は、その事をずっと内心は心苦しく思っているのだろう。日頃の騒動の数々も彼なりに周囲を気遣っての行動から生じるものであり、性根はとても心優しい少年なのである。だからこそこうして、今にとって節目となる日に心を込めてお祝いをする形で、彼女への日頃の感謝を表現しようとしているのだ。
――感謝。ふと頭に浮かんだ言葉を、来馬の心が拾い上げる。
「今ちゃんへの感謝の気持ちを、太一は伝えたいんだね」
 そのまま自然に、心に留まった言葉が口をついて出た。
 それを聞いた太一が、また瞳を見開いて――今度は顔を晴れ晴れとさせて、大きく頷く。
「――そうだ、それです!感謝の気持ちも伝えたいなって」
 うん、と来馬も穏やかに頷いた。



「そうしたら、ちょっと今思いついたんだけど……」
 来馬はその流れで、頭に浮かんできた考えを口にしてみる。





 浮かんだのは、来馬の両親の姿だった。
 何かの記念や節目の時や、日頃の苦労を労うような時に。来馬の父が、母に花を贈っている光景を思い出す。
 母は時に気恥ずかしそうに、時に軽口を返しながら――それでもいつも、愛おしそうな笑顔で花束を腕に抱えているのだった。
 女性に花を贈る事が、一般に思われるように喜ばれるものかどうかは、多分にその人の気性によるとは思うが。日頃料理を嗜んだり細々とした世話もこなし、女性らしい所作を見せる今の姿を思い浮かべると――こういう特別感が似合いそうだな、と来馬は感じたのである。





「花――ですか」
 来馬がその思いを言葉にしてみると、太一の表情がたちまちぱっと明るくなる。
「いいですね、それ!今先輩に似合う気がする!」
 来馬が思ったのと同じような気持ちを太一と、同様に村上も感じたようだった。
「そのまま飾って置いておけるようなアレンジメントもあったと思うから…ちょっと詳しく調べてみるよ」
 提案者として、具体的に事を運ぶ為の下準備を来馬が受け持つ事とする。とりあえず近い内にカタログ等を用意すると約束し、二人もそれを了承した。
――漸く長らくの考え事から解放されて、三人にすっかり安堵の表情が浮かぶ。
「さすがは来馬先輩ですね。そういう発想はまったく浮かびませんでした」
「そうそう、おれらじゃ絶対思いつかなかったです!」
 村上と太一が、心底感服した様子で来馬に感嘆の言葉をかける。来馬は恐縮して軽く手を上げながら「役に立てたのなら、良かったよ」と優しく答えた。
 だけど、と、村上がふと複雑そうな笑顔を見せる。
「――なんか、ちょっと照れますね。女子に花なんて、贈ったことないな」
「まあ…ちょっとキザっぽかったかな」
 来馬も少し苦笑して返事をすると、太一が「いやいや!」と力強い口調で言ってきた。
「絶対いいですよー、なんかすごくピッタリだと思うし、ほらあの…」
 太一は暫し何か思い出そうとする素振りを見せてから、満面の笑顔で続ける。
「あれだ、母の日のカーネーションみたいな!いつもありがとう、って感謝を伝えるあの感じ!」
「母の日って…おまえそれ、本人の前では言うなよ」
 不安を顔に滲ませながら、村上がきっちり太一に釘を差した。






   *   *   *   *   *







 それから何日か経って後の、鈴鳴支部にて。
「もー太一!!何やってんのよー!!」
 今の鋭い叱り声が室内に響く。
 その矛先である太一は今より背の高い身体をすっかり縮こまらせ、「スミマセンー!」と平身低頭謝っていた。
「まったくもう、だいたいねえ――」
 今が更に小言を続けようとして、ふと太一の向こう側に目をやり――ある一点で、その視線が留まる。
 『それ』を目にして僅かに、今の表情が和らいだ。
 ひとつ、短く大きなため息をついて、今が口を開く。
「……もう、本当気をつけてよね」
 ぽかり、と太一の頭を軽く拳で小突いて、今はそのまま横を通り過ぎ立ち去っていく。
 その口元に笑みが浮かんでいるのを、太一は目にした。





――今の視線の先には、三人があれからまた悩みながら選んで贈った、かわいらしい籠にセットされたフラワーアレンジが飾ってある。
 最近、今先輩が優しくなった気がします。と、太一が時折不思議そうに口にしていた。
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しかし詳しくはない半端者です。基本好きなものを気の向くままに。

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